はえうじ症
2010 / 08 / 01 ( Sun ) 15:12:52
内容は、かなりグロテスクと思いますので、読まれる前に、覚悟を決めた方のみ、ご覧ください。


「先生、頭に砂がついていたので、掃ってあげようと思ったら、どこかわからないけれど、すごく痛がるんです。そして、そばにウジが落ちていたんですが、そんなことってあるんですか?」という電話がかかってきました。

「たぶん、ウジがわいているんだと思います。急いで治療しないと衰弱して死んでしまいます。すぐに来てください。」と伝え、来院していただくこととなった。


老犬の秋田犬です。
ずいぶん衰弱して、立つのがやっと。

わんちゃんからは、すごい化膿した臭いが漂ってきます。
そして、診察台に乗せようとすると、とても痛がります。
そろっと乗せて、見てみると・・・。

飼い主様:「先生、ここに砂が。」

私:「これは、卵ですよ。」

飼い主様:「え!」

たくさんの黄色いハエの卵が、頭一面についていました。

私:「まず毛刈りしましょう。」

と、バリカンを取り出し、スタート。
そうすると、たくさんのウジが、顔を出してきました。

毎回、ハエウジ症は、気持ちの良いものではありません。
慣れるということはありませんね・・・。
しかし、これで、この子が弱っている・・・何とかせねば!と思うと、急に、スイッチが入ります。

たぶん、これがプロ根性なのでしょう。

ゴキブリも苦手な私。
はっきり言って、それに負けないくらい気持ち悪いのですが。

ウジは、暗いと表面に出てくるのですが、明るくすると、中に入り込みます。
なので、毛を刈って、速やかに、取り除くという作業を繰り返します。

秋田犬で大きかったため、ほぼすべて取り除くのに、2時間もかかりました。


体についている卵を全部とらないと、また、次の日には孵化してしまい、繰り返してしまいます。
すべての卵を取り除きました。


終わってから、点滴と化膿止めをうち、終了。
次の日が休診日だったので、その次の日に来てもらうことにしました。


外で飼われていた子ですが、そのままだとまた、化膿臭につられてハエが飛んできて、卵を産み付けます。
そのため、玄関に入れてもらい、ハエが来ないようにしてもらいました。


2日後。
歩けるようになっていました。

ハエウジ症は、ウジがたかり始めると、急速に衰弱します。
しかし、適切に治療をすると、メキメキと元気になっていきます。

数日後には、すっかり元気になりました。


原因は、目の上にあった、腫瘍です。
それが自壊して、化膿したため、臭いにつられてハエがたかったようです。

ハエがたかり、ウジがわき始めると衰弱し、また、化膿するため、余計に臭いを放ちます。
それにつられて、さらにハエがたかり、ひどい状態になっていくのです。


今まで私が遭遇した症例のほとんどが犬でした。
そして、室外で飼育されていました。
また、ほとんどの症例で腫瘍があり、それが元でハエウジ症になっていました。
肛門周囲腺腫や乳腺腫瘍をはじめ、自壊して化膿した腫瘍でした。


どうしても、お外で飼われていると、スキンシップの機会も減り、腫瘍が出来ていることに気づくことが遅くなってしまうようです。
また、仮に、気づかず、化膿していたとしたら、室内の中では臭いで気づきます。
なので、ハエがたかる前に、気づいてあげることが出来るでしょう。

しかし、お外だと、その臭いも、部屋ほど気づきにくいのかもしれません。
人が気づく前に、ハエのほうが気づいてしまい、自壊するほどの腫瘍の場合、動物も衰弱している傾向にあるため、ハエを払うことが出来ず、産み付けられ、ウジが発生し、さらに衰弱して、さらに産み付けられと言う悪循環になってしまうのです。


昔は、もっと多くの症例があり、年間数例見たのですが、ここ最近は、久しぶりです。

お外で飼われている方は、ついつい、いろんな病気を見逃しがちになります。
なるべく、スキンシップをとる時間を、作るようにお願いいたします。


獣医師、動物看護師を目指す方へ。

この仕事は、こういうこともあります。
気持ち悪いという前に、このこのために自分が出来ることは!と考えられないと、勤まりません。
この子の力になってあげられるのは、飼い主様はもちろんですが、その他に頼れるのは、私たち動物病院スタッフしかいないのです。

臭く、汚くて、きつくて、給料も安く、休日も少ない。
今の日本の獣医療は、医療従事者やヘルパーさん以上に冷遇されていますが、世間がそのようにしか評価してくれないのが、現状です。
その中でも、一緒にがんばりたいという方が、増えてくださることを望みますし、私たちの待遇が良くなる様に、一緒にがんばりましょう。



こういった症例が、あまり発生しないことを祈って・・・。


応援の拍手お願いいたします。
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